日本人の10人に1人が爪白癬にかかっているとされています。
爪白癬は誰でもかかる身近な感染症です。足にできる水虫(足白癬)と同じ白癬菌(はくせんきん:いわゆる水虫菌)というカビ(真菌)の仲間が、足ではなく「爪」に感染することでおこります。
第1趾(足の親ゆび)の爪に好発します。足白癬に続発して起こる場合が多く、爪の先端から白く濁り、次第に爪の根元側に進行することが多いです。爪はもろくなり、粉末状に崩れるようになることもあります。かゆみなどの自覚症状がないため、治療せずに放置されていることもありますが、自家感染や家族内感染の原因になります。
削り取った爪の一部に白癬菌がいるか検査し、白癬菌が見つかれば爪白癬と診断されます。爪白癬は見ただけでは診断がつかず、必ず顕微鏡検査にて診断を行わないといけません。
爪が白濁したり肥厚したりすると、見ただけで爪白癬になったと思う方もいると思いますが、実際にはそうとも限りません。特に第5趾(足の小ゆび)の白濁肥厚は、ぶつけたり踏まれたり、長年の靴による慢性刺激などで起こることも多く、爪白癬でないこともあります。
どうして爪白癬になるの?
爪白癬患者さんの多くは、足白癬を正しく治療しなかったために発症しています。
足白癬を治療しないで放置していたことや、治療を途中でやめてしまうことで、足についている白癬菌が爪にうつることが主な原因と考えられます。そのため、足白癬の約2人に1人が、爪白癬にかかっているといわれています。
白癬菌は足から爪へ、爪から足へとうつるため、足白癬と爪白癬を繰り返さないためにも、一緒に治療することが大切です。
爪白癬は外用薬ではなかなか根治しにくく、抗真菌薬の内服が有効です。
爪白癬(爪水虫)の治療方法は?
爪白癬に対して抗真菌薬というお薬を使って治療します。抗真菌薬は爪白癬の原因となる白癬菌を殺したり、増えるのを抑えたりする作用があります。
爪白癬の治療方法などをまとめた「皮膚真菌症診療ガイドライン」では、治療の原則は「のみ薬」とされています。
お薬を飲むと、有効成分が血液により爪まで運ばれて、皮膚や爪の内側から効果を発揮します。
爪白癬が治るまでに、どのくらいの期間がかかるの?
爪白癬は、治るまでに約1年~1年半かかるといわれています(それ以上かかることもあります)。
お薬の有効成分が効いて、感染した爪が成長に伴って先端の方へと押し出され、新しい健康な爪に生え変わることで治ります。
爪白癬の治療はどんな流れ?
治療中は1ヵ月に1回程度通院することで、治療経過を確認します。
安全に治療を進めるために、副作用が出ていないか血液検査で確認します。
治療は自己判断でやめずに、医師から指示があるまで続けましょう。
爪の見た目がきれいになり治ったと思っても、白癬菌が爪に残っていることがあります。
再発させないためにも、最後まで治療を続けましょう。